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情報をつかんだ日本政府は、とりあえず香港から成田に来る便の乗客のなかで、高熱を発している人は成田の検疫所に1、2日置いて、入国させないという緊急処置をとることにした。
それとともに、厚生省はとりあえず、係官を3人香港に派遣した。
香港でも全力をあげて対策に躍起となっているのだが、患者は増える一方で、12月20日には、100人を超えて、25日には200人となった。
数字的に見ると、5日間に2倍になるという途方もない増え方である。
早晩、日本にも入ってくることはまちがいないとみられるに至った。
そうかといって、香港‐成田の空路を閉鎖するわけにもいかない。
WHO(世界保健機関)に非公式に打診してみたら、すでに中国には侵入しているし、早晩世界中に広がることは間違いないという。
そういっていた矢先、ついに12月27日に日本にも患者が発生した。
もちろん、発病後、10時間以内に死亡した。
この患者は商用で香港に行った人で、12月23日から同26日まで香港にいて、その晩帰国している。
この例からみて、この病気は、ほとんど潜伏期間がないに等しいぐらいで、感染するとただちに発病するという強烈な病気のようである。
年の瀬も押し迫った12月30日になって、香港に派遣していた係官の1人から「どうやら、この病気はウイルスが原因のようで、そのウイルスを見つけたという学者がいる」という情報がもたらされた。
厚生省はただちに、そのウイルスを見つけたという学者に会って、会えたらすぐに帰国するように指示した。
その係官は、とにかく、ウイルスを発見したという学者に会うことはできた。
中国人の医師で、電子顕微鏡でとらえたという。
もちろん、同定したわけではなかった。
係官は、その電子顕微鏡写真をもらって、12月31日の夜、帰国した。
そこで、元日ではあっても緊急を要するということで、この日の会議になったわけである。
しかも、日本では、第一例が出た翌々日に、その患者の家族も擢病し、その人も死んでいる。
このほか3人の患者が発生して、やがて、日本も1月中には100人を超す患者が出るものと予測きれるに至っている。
新聞は連日のように、この病気を報道している。
なかには「21世紀病」というような縁起でもないニックネームをつけたマスコミもある。
そして、いつも引合いに出されるのはエイズである。
エイズのほうは、まだ、感染を防ぐ方法もないではない。
なにしろ、3〜6年の潜伏期間のようなものがあるし、伝染力が強いというわけではない。
それに10時間ちょっとで死ぬということもない。
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